特別インタビュー

第八回:株式会社コビーアンドアソシエイツ 代表取締役 小林 照男氏

株式会社コビーアンドアソシエイツ 代表取締役社長。社会福祉法人コビーソシオ 理事長。
のちにコビー独自の保育メソッド「マトリクス保育」を考案した保育士、小林典子のもとに1969年誕生。
1995年、アメリカのケンタッキーウエスレアン大学卒業後(会計学・経営学)、1996年、有限会社コビーアンドアソシエイツ設立。(2000年株式化)。
2011年、社会福祉法人コビーソシオを設立。東京・千葉・埼玉・山形で認可保育園「コビープリスクール」及び運営受託園など、19施設を運営(2014年1月現在)。
著書に『急成長コビー、スーパー保育園運営の極意 感動の輪が広がる保育』(明石書店)がある。千葉県柏市在住。

株式会社コビーアンドアソシエイツ
社会福祉法人コビーソシオ
<Facebook>コビーリクルート
■<著書>感動の輪が広がる保育 ~急成長コビー、スーパー保育園運営の極意~

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━━代表取締役および理事長を務められている株式会社コビーアンドアソシエイツ、社会福祉法人コビーソシオにおいて、どのような保育を展開されているのかお聞かせください。

■「本物体験」へのこだわり、独自の保育メソッド『マトリクス保育』

 私たちコビーは、保育の品質を重視し、徹底的なこだわりを持っています。なぜなら、保育園で過ごす0歳からの6年間は、人間として大きく成長を遂げる期間だからです。ハイハイしていた赤ちゃんは、歩きはじめ、やがてボールを自在に操り、ドリブルするまでになります。同様に、心も、快・不快だけの感覚から喜怒哀楽といった豊かな感情が芽生え、自律を覚え、社会性を身に付け、しなやかな感性が育まれるまでになります。そう、想像以上に大切な時期ですよね。

 だからこそ、大切にしたいのは、その時期における「本物体験」なのです。子どもの才能は、どこに秘められているかわかりません。乳幼児期の経験は、将来才能を開花させるきっかけになるのですから、子どもたちにはたくさんの本物・本質に触れさせてあげたいと考えています。

 たとえば、園舎に飾る絵画にレプリカはありません。また、昼食やおやつで使用する食器は、落とせば割れるガラスや陶器製です。本物の質感を小さな頃から身近で感じて欲しい、学んで欲しいのです。農業体験などでも種まきから収穫まで、水やりや草取りを含め一連の作業を体験します。台風で倒れたり、害虫にやられたりすることもありますが、苦労して育てるからこそ、本当の収穫の喜びを味わうことができるのではないでしょうか。こうした本物へのこだわりは、あらゆる保育シーンを貫きます。

 そういった想いの中で、
●思いやりや優しさ、リーダーシップを育む「異年齢児交流保育」
●しつけや基本的な生活習慣を学びながら創造性、芸術性、知的能力、運動能力などを開発する「年齢別保育」
を融合した独自の『マトリクス保育』を基軸に、コビーの保育は展開されます。当然、そこに季節や社会行事、伝統行事を取り入れた保育行事、サッカー保育をはじめ、バレエ保育、英語保育、音楽保育などのお稽古事保育も加わりますが、本物・本質を追求するコビーイズムは変わりませんね。

━━質の高い保育に欠かせないものとは、何でしょうか。

■「保育士」一人ひとりが「真のプロフェッショナル」であること

 ソフト面やハード面などの保育環境を充実させることはもちろんですが、何より欠かせないのは「人材」だと考えています。人を育てる仕事は、人にしかできません。質の高い保育に欠かせないものは「保育士」一人ひとりなのです。だからこそ、コビーの保育士には「真のプロフェッショナル」となってもらいたい。
 
 前身である大師山保育園時代から、約60年以上の保育経験と実績がコビーにはあります。その中で培われてきた豊富な保育スキルは、ベテラン保育士から新人保育士へ脈々と受け継がれていますが、こうした「深い歴史」も真のプロフェッショナル育成のためには欠かせない要素。歴史あるコビーならではの特徴だと思っています。

 もちろん、保育士は常に社内外で行われる研修に参加し、「最新の知識・スキル」を得る努力も惜しみません。衛生管理や食物アレルギーについてなど、安心・安全な保育環境を整備するための知識をはじめ、立体造形や型紙制作、手遊び、壁面装飾、衣装制作など日々具体的な保育技術を積極的にアップデートしています。

 また、私は「1年前と同じものではいけない」と、常々、保育士に伝えています。築いてきた歴史を土台としつつも、最新・最高の品質を追い求め続ける姿勢こそが、真のプロフェッショナルには必要です。ですから、コビーの保育士は、皆それぞれ高い使命感と技術を持ち、かつ「コビーの保育士である」ことを誇りとしています。これは代表としてはとても嬉しいことです。

━━若手人材に対して想うこと、メッセージをお聞かせください。

■自分に与えられた目の前の課題に、謙虚に、そして前向きに取り組んでほしい

 ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、イギリスの近代演劇を確立し、ノーベル文学賞を受賞したバーナード・ショウの言葉に【人間が賢いのはその経験に応じてではない。経験に対する能力に応じてである】というものがあります。同じ経験をしても、その人の姿勢やものの見方によって学べる「知」はまったく違う、という意味ですね。 
 
 実は私は、大学卒業時点まで、保育の仕事に携わる気は毛頭ありませんでした。熱心に保育に取り組む母の姿を見て育った私は、教育に関わる仕事はその人の一生に関わることであり、自分にはとても務まらないと思っていたのです。しかし、あるとき母に、保育の世界に呼び戻されました。米国で大手監査法人への就職が決まっていたこともあり、正直に言えば嫌々帰国し、母の手伝いを始めたのです。
 
 保育士の資格もなかったので、任される仕事は園庭の草むしりや園舎の整備、皿洗いなどの雑務ばかり。当然、苦労して米国の大学まで出て、なぜこんなことばかりしなければならないのかという不満はありましたよ。ただ、自分ができる目の前の仕事はとにかく精一杯やりました。

 そんな仕事の合間をみて、学んだマーケティングの知識を活かし、今後の保育需要について調査しました。少子化で今後は先細りするだろうと言われていた保育業界でしたが、当時ちょうどバブルが崩壊、女性の社会進出が進んでいた時期だったので、今後大きく伸びるであろうという予測ができたのです。

 それが、今のコビーの立ち上げにつながったのですね。その際、母のもとで行なった雑務がとても役に立ちました。子どもたちの活動を知らなければ、園舎設計の発注もできませんし、安全・安心の保育環境を提供するためのノウハウを持つことはできませんから。あの雑務経験には、大事なエッセンスがたくさん詰まっていたのです。
 
 ものごとは、最初から自分の思い通りにいくことばかりではありません。むしろ思い通りにいかないことの方が多いでしょう。しかし、自分に与えられた目の前の課題に、謙虚に、そして前向きに取り組むことは、必ず自身の成長につながり、間違いなく人生の大きな糧になるはずです。

 コビーの保育目標のひとつに、「さまざまな保育の機会を通し、何事にも意欲的、積極的に取り組もうとする態度が身に付くようにし、達成する喜びや感動を知らせる」というものもありますが、まさに同様ですね。ぜひ、これから社会に羽ばたく皆さんには「経験に対する能力」を磨いていって欲しいと思います。

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