時代にマッチした管理職人材の育成を機に、人材育成や人事業務の最適化を推進
- 業種
- メーカー
- 従業員数
- 約500名
- 設立
- 2006年(創業:1947年)
- 本社
- 東京都
課題背景
アパレル市場の多様化への対応を推進し、組織変革などに取り組んできたものの、時代の変化とともに若手社員が求める管理職像に変化が生じ、管理職人材の育成が急務に。なお、従来の管理職人材の間には過去の成功体験が根強く残っており、若手社員の採用や定着にも不安があった。
成果
マイナビの研修を含む幅広いサービスとcrextaのシナジー効果が、管理職人材をはじめとした社員のモチベーションやスキルを向上するきっかけになった。
また、crextaのeラーニング機能を社員に広く開放したことで全社的に学習意欲が高まったほか、エンゲージメント診断の結果を生かして正社員登用制度の改善にも取り組んだ。
crextaのデータベース機能やパーソナリティ診断機能の活用も視野に入れており、人材育成や人事業務の高度化・最適化を目指している。
日本を代表するメイド・イン・ジャパンのジーンズメーカーとして知られるエドウイン。 2022年8月に25周年を迎えリニューアルした代表的なジーンズ「503」を筆頭に、国内外で高い知名度を誇っています。 一方で多様化するアパレル市場への対応が急務となり、組織変革を進めていくことに。その過程で管理職層のマネジメントスキルの向上が課題として浮上しました。
そこで、同社は2020年に管理職層の強化に関するコンサルティングをマイナビに依頼。以降、人材育成を通して新たなマーケットや昨今の若手社員にマッチした組織づくりにチャレンジしています。 今回は、研修や人材・組織開発ツール「crexta」をはじめとしたマイナビのサービスを導入した背景と活用法、そして今後の展望について、人事・総務室のご担当者に伺いました。
管理職人材の意識を変え、マネジメント能力を向上できるか
まずはエドウインの歩みと最近の動向について教えていただけますか。
(以下、香川)
当社は戦後、米軍払い下げ衣料品の卸しから事業をスタートさせました。その後、中古ジーンズの輸入業を経て、1961年に「EDWIN」ブランドの国産ジーンズが誕生。そして、1997年には当社の看板商品である「503」を生み出し、日本を代表するジーンズメーカーへ成長しました。
しかし、近年はアパレル市場の多様化とともに、ベーシックなデニムファッションの需要に陰りが見られるようになってきました。そこで、最近ではビジネスデニムの「デニスラ」やゴルフウェアの「エドウインゴルフ」といった新たな切り口のラインアップを揃え、新たな市場を開拓しているところです。
一方、当社では20年ほど前から欧米市場の開拓を進めており、現地でのライセンス生産によって着実に知名度を高めてきました。そして、この数年はあらためて日本の技術力やブランド力をアピールしていこうということで、メイド・イン・ジャパンのデニムアイテムの販売にも力を入れています。
そうしたなかで、人材戦略の面についてはどのような課題を抱えていたのでしょうか。
当社はもともと、少数精鋭のものづくり系企業だったこともあり、若手のうちから戦力になることが求められ、自然と職人気質の社員が多くなっていました。ところが、2014年に伊藤忠商事の子会社となってからは、多様化するアパレル市場に対応するために組織変革が進展。ビジネスモデルについても、かつては在庫を大量に持ち、それを懸命に販売していくというスタンスだったのですが、今は戦略的に商品開発を行い、適切な量と質の商品を生産・販売するという方針に変わってきました。
それに伴い、社員一人ひとりに経営的な視点やマネジメント能力が求められるようになってきたのですが、現実には職人気質からの脱却が難しく、管理職人材の中にも「仕事は見て覚えるもの」という雰囲気がありました。
売り手市場が続き、若手人材の確保が難しくなっている近年にあっては深刻な問題ですね。
過去、ライバルブランドとしのぎを削り、卸商売にて大きな成果を上げた成功体験が大きく、多くの社員の中で、「これまで、成功してきたのだから、このやり方で良いんだ」 という考えが定着してしまっていたのかもしれません。この意識を変革するには相当の労力と時間を要しますが、時代の変化に対応するには組織も人も変わらなければなりません。そこで、数年前から人材育成を積極的に推進していくことになったのです。
管理職層を皮切りに、幅広い階層での研修を実施
2020年に従来行っていた研修に加え、マイナビによる管理職向けの研修を導入いただきました。その理由は何だったのでしょうか。
(以下、増田)
若手社員を採用・育成するにも、まずは管理職層にマネジメント能力を磨いてもらう必要があると考えたからです。そこで、もともと新卒採用でお付き合いのあったマイナビに相談し、管理職向けの研修を導入してみることにしました。
具体的にはどのような研修を採り入れたのですか。
マイナビからの提案を受けて、ムビケーションという手法を用いた評価者研修を導入しました。参加者全員でビジネスドラマ仕立ての動画コンテンツを視聴し、その登場人物たちの行動を各自が評価し、結果をディスカッションすることで、自分とは異なる評価のポイントを学んだり、お互いの考えを高め合ったりすることができるというものです。参加者からは「部下を評価する際の参考になった」「視野を広げることができた」といった反響があり、私たちとしても手応えを感じました。
それ以降も継続的にマイナビに研修を依頼されているそうですね。
2021年には管理職候補(中堅社員)と若手社員を対象にした研修をそれぞれ実施し、いずれも十分な成果を上げることができました。たとえば管理職候補のなかから参加者を選抜し、ロジカルシンキングや問題解決力をテーマにしたのですが、参加者のモチベーションが非常に高く、選抜されたことにも喜びや誇りを感じてくれていました。私たちとしても「階層別の研修を効果的に実施すれば、社員のモチベーションアップにつながる」ということを実感できたので、今後は経営層向けの研修なども導入していきたいと考えています。
crextaで人材育成や人事業務の最適化を図る
研修を拡充するなかで、マイナビの人材・組織開発ツール「crexta」を導入されたそうですが、その理由についてもお聞かせいただけますか。
研修参加者向けの事前学習ツール、さらには研修に参加しなかった社員の自己学習向けのツールを探していたところ、crextaに充実したeラーニング機能やその他の人材・組織開発機能が搭載されていることを知り、2021年に導入しました。なかでも当初はeラーニングコンテンツのボリュームや階層ごとに必要なコンテンツが用意されている点に惹かれましたね。
エンゲージメント診断機能、データベース機能、パーソナリティ診断機能、組織シミュレーション機能などについてはすぐに使いこなすのは難しいかなと思っていましたが、当初から数年かけて社員のデータベースを構築し、いずれは人材育成や人事業務に活用したいという思いを抱いていました。
現在、crextaのeラーニング機能はどのように活用していますか。
今は本社と支店、そして物流に携わる社員たちに使ってもらっていますが、2022年はさらに店舗や工場で働くスタッフたちにも活用してもらえるようにしたいと考えています。特に工場に関しては新型コロナウイルス感染症対策などで、研修やセミナーなどを実施する機会が減っていたので、eラーニングで学びの機会を提供したいと思っています。
徐々にeラーニング以外の機能も活用されていると伺っています。昨年にはエンゲージメント調査を実施されたそうですね。
社員のエンゲージメントの現状を把握するために、2021年11月に実施しました。今後はストレスチェックとあわせて定期的に実施することで、問題点の見える化を図り、改善の材料として活用していきたいと考えています。
すでにエンゲージメントを高めるために講じた施策はありますか。
店舗スタッフのエンゲージメントを向上するために、正社員登用制度の見直しを図りました。従来の制度だと店舗スタッフは基本的にアルバイトで、店長にならないと正社員になれなかったのですが、これでは店長が異動したり、退職したりしないかぎり、正社員への道が閉ざされてしまいます。そのため、特に副店長クラスのエンゲージメントが低く、優秀な人材の退職もありました。
そこで、店舗統括部との意見交換を経て、十分なスキルを持っていれば、店長以外でも正社員になれるように正社員登用制度を変更することにしたのです。エンゲージメントに反映されるのはこれからですが、こういった変革を積み重ねていくことで、少しずつ時代にマッチした体制を構築していきたいと思います。
パーソナリティ診断機能に関してはどのように活用されていますか。
全社員を対象に実施し、結果は本人にだけ伝えています。今後もデータを公表することは考えていませんが、人事・総務室のメンバーの診断結果を見るかぎり、的中率はかなり高いと感じています。部下との接し方、上司との接し方に悩む社員たちへのアドバイスに活用できると思うので、人事・総務室に相談があった場合にはこの診断結果をもとにしたアドバイスをしていきたいと思います。
(以下、梅田)
パーソナリティ診断機能は人事業務においても有効活用できるかもしれません。crextaのペルソナ分析機能では、AIを用いてパーソナリティ診断機能の結果などをもとに、ある部署に適した候補者を割り出すことができるのですが、私たちが想定しなかった候補者が示されることもあり、新たな可能性を感じることができました。
さらにそれらの結果を踏まえながら、組織シミュレーション機能で人事異動のシミュレーションをすることもできるので、今後、活用していきたいと思っているところです。研修受講履歴やエンゲージメント診断などのデータを蓄積していくことで、その精度はさらに高まっていくと思うので、ゆくゆくは実際の人事異動にも活用できると思います。
マイナビと伴走しながら、エドウインの未来を切り開く
マイナビとの協力体制についてはいかがでしょうか。
営業担当の方のレスポンスがはやく、いつも驚いています。たとえば「この階層の人たちにこんな成果が上がるような施策を講じたいんですが」といった質問をすると、研修をはじめ、いくつかのアイデアをすぐに提案してくれるのです。まさに当社とともに伴走してくれている感じで、いつも助けられています。
今後、crextaをどのように活用していきたいとお考えですか。
もともとの人材データベースが不十分な状態なので、研修やエンゲージメント診断などのデータをcrextaに蓄積していくことで、さまざまな局面で使える、新たなデータベースを構築したいですね。人材育成や人事業務を最適化することができるだけでなく、強い組織を構築する上でも大きな財産になると思います。その手法や活用法などについては、引き続きマイナビからのアドバイスに期待しています。
強い組織という面では、新卒採用に関してもcrextaを使って「こういう人材が必要だから積極的に採用していこう」といったビジョンを掲げようとしています。採用からカバーしているマイナビの力を借りながらcrextaを活用すれば、自社に必要な人材をしっかりと定義できるので、採用領域でのさらなる活用が期待できます。
私は、より多くの社員が個性を発揮するきっかけにできればと考えています。たとえば、当社の店舗スタッフはとてもまじめで一生懸命なので、crextaを活用すればさらにスキルアップし、活躍の場を広げられるのではないかと思うのです。また、crextaにはオリジナルのeラーニングコンテンツを作成できる機能も搭載されているので、マイナビと協力しながら新入社員や中途社員が気軽に当社やデニムの基礎知識を学べるような仕組みを整えたいですね。そうすれば、これまで以上に多くの社員がエドウインに誇りを持てるようになるのではないでしょうか。
さまざまな活用方法を視野に入れてくださっているようでうれしいかぎりです。これからもマイナビのサービスを活用して、メイド・イン・ジャパンのデニムアイテムを国内外に発信し続けてください。
※取材内容は2022年9月1日現在の内容です。
〈プロフィール〉
香川 誠 さん
1994年伊藤忠商事株式会社入社(株式会社エドウイン親会社)、繊維カンパニーに配属。2022年4月1日株式会社エドウインへ出向、取締役就任。人事・総務室長として全社的な人事業務を統括しながら、現代にマッチした人事戦略を模索している。
増田 ひとみ さん
アパレルメーカーにて販売職を経験した後、2005年に株式会社エドウイン入社。社内システム部門で事務職を経験した後、2012年に人事・総務室に配属。管理職人材向けの研修を皮切りに、階層ごとの研修を採り入れるなど人材育成に関する施策を積極的に推進している。
梅田 記未 さん
金融機関にて窓口業務・人事を経験した後、2020年に株式会社エドウイン入社。人事・総務室に配属となり、現在は「crexta」の運用を担当し、そのさらなる活用法を検討している。
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