お客様プロフィール

名古屋ステーション開発株式会社

JR東海エリアの駅に直結・隣接した商業施設などの経営・管理 高架下の店舗や駐車場などの開発・貸付・管理
従業員数:76名(2023年2月現在)
設立:1988年
本社:愛知県

事例概要

課題背景
全社員の3割以上が60歳以上であり、このような経験豊富なベテラン社員が5年以内にリタイアする予定。2019年から新規採用した若手社員の早期育成が課題となっているが、ベテラン社員と若手社員の間のジェネレーションギャップなどもあり、両者のそれぞれに対する期待度と現実に差が生じていたことから、技術継承を含む若手社員の早期戦力化に不安を感じていた。
成果
年次別の研修を拡充する必要があるという仮説のもと、それを効果的に叶えられる施策として合致したマイナビのcrextaの活用を決定。
以来、同社ではcrextaのエンゲージメント診断機能を活用し、ベテラン社員と若手社員それぞれの課題を浮き彫りにしたうえで、適切な研修の実施やeラーニング機能による学習機会の拡充を推進。また、crextaのパーソナリティ診断を活用して面談の質を高めたほか、データベース機能を活用して全社員の面談記録を保存して次の面談の参考とするなどの取り組みも展開中。
今後はこれらの取り組みを効果的に結び付け、より強固な人材育成の仕組みにしていくことを目指している。

人材を持続的に育成する仕組みを構築してジェネレーションギャップを埋める

取締役 総務部長
森田 利充さん
総務部 総務課係長
因 則子さん

JR東海の100%子会社として、JR東海エリアの駅や高架下の開発を担う名古屋ステーション開発。 2019年度から新卒採用を開始、さらにコロナ禍を機に〝攻めの経営〟や働き方改革を推進と、時代に即した変化を続けてきました。 一方で、多くのベテラン社員が間もなくリタイアするという状況のもと、ベテラン社員からの技術継承や若手社員の早期育成を大きな課題として捉えているそうです。

そこで、同社では2022年から「組織活性化プログラム」を展開し、すべての社員がいきいきと働ける職場づくりにチャレンジ。 ジェネレーションギャップを解消するためにマイナビの人材・組織開発ツール「crexta」を導入し、マイナビのアドバイスを受けながら研修内容の最適化や面談の一層の活用を図るなど、人材を持続的に育成する仕組みづくりを進めています。

はたして、同社のこうした仕組みづくりはどのような背景で展開されているのでしょうか。 その詳細について、総務を担うお二方に伺いました。

ジェネレーションギャップが課題として浮上

― 本日はよろしくお願いします。まずは名古屋ステーション開発の事業内容からお伺いしたいと思います。

森田 利充さん(以下、森田):当社はJR東海の100%子会社で、1988年に設立されました。 JR東海エリアの愛知・岐阜・三重県内の駅に直結・隣接した16件の商業施設の経営・管理のほか、鉄道高架下の店舗や駐車場などの開発・貸付・管理などを手掛けています。

商業施設に関しては、JR名古屋駅では「なごやめし」を中心としたグルメを提供する「名古屋うまいもん通り」が代表格ですが、そのほか、駅改札口の外で各種店舗を展開しています。 また、JR各駅にある駅ナカの商業施設「ASTY(アスティ)」や「CHUM(チャム)」も地域の皆様に愛されています。

他方、鉄道高架下施設の開発・運営については、主に飲食店や駐車場、資材置き場などとして貸し出し、運営しています。

― コロナ禍の影響はいかがでしたか。

森田:当社はもともと名古屋駅を中心に安定した収益をあげ続けてきたのですが、コロナ禍においては新幹線をはじめとしてJRの鉄道乗客数が激減したこともあり、設立以来、初めての赤字を経験しました。

もちろん、ここ最近は客足も戻り収益も復調してきていますが、その時の教訓を活かし、鉄道の乗客数に左右されにくい分野のテナントを誘致するなど、〝攻めの経営〟に挑戦しているところです。 そういったコンセプトのもと、2022年は尾張一宮駅のアスティについて、生鮮三品をはじめとする食物販店をメインとしたリニューアルをおこないました。おかげさまで好評を博しています。

また、高架下施設に関しても、従来は「貸してほしい」という声に対応する受け身のビジネスモデルでしたが、最近は鉄道利用者だけでなく、近隣住民のニーズにも着目して、当社から提案をして新規業態を誘致するようにしています。 その結果、大型オフィスや保育園、フィットネスクラブ、シミュレーションゴルフ施設など、多彩な業種が入居するようになり、地域のにぎわいづくりにさらに一役買えるようになったと自負しています。

― 経営環境とともに、社員構成も変化されているのでしょうか?

森田:当社はJR東海の100%子会社で、社員の大多数を同社からの出向者が占めていました。 会社の雰囲気もどことなく「安全運行」を第一とする鉄道事業の印象があります。 社員の年齢層もベテランに偏っており、今後も業務がきちんと継続できるのかという懸念もありました。

こうした状況に危機感を覚え、2019年度から新卒採用を開始しました。現在は全社員の2割程度が新卒者となっています。

人材を持続的に育成できる仕組みづくりを推進

― こうした人員構成の変化にともない、課題も出てきたのではないでしょうか。

森田:全社員の約6割が50代以上のベテラン社員であるため、若手社員との間でジェネレーションギャップがあります。 ベテラン社員からは「若手社員は自分よりも30~40歳くらい年下で、コミュニケーションや指導の方法が分からない」といった声が寄せられるようになりました。

さらに、2020年からのコロナ禍では、社員の大半が一時的に在宅勤務を余儀なくされるなど、さらにコミュニケーションを取るのが難しくなってしまいました。 ひと昔前であれば、懇親会をはじめ、業務時間外にコミュニケーションの円滑化を図る方法もありましたが、コロナ禍が終息していない今ではそれもなかなか難しいのが現状です。

― 森田様ご自身もJR東海からの出向かと思いますが、まさにコロナ禍の最中に着任されたそうですね。

森田:私はJR東海では長年にわたって財務部に所属し、その後、財務系の子会社(JR東海財務マネジメント)で取締役総務部長などを務めた後、2021年に着任しました。 着任直後は前任者からの引継ぎで、フレックスタイム制の導入や在宅勤務へのシステム対応などに取り組みました。

その後、若手社員がメンタル不調をきっかけに退職するという事象があったため、人事面の課題にあらためて立ち向かうこととなったのです。

そこで、まずは2021年末までに全社員と面談し、現状把握に努めました。 そのなかで、あらためて認識したのが先ほど述べたジェネレーションギャップです。 ベテラン社員にとっては「当たり前」の業務であっても、若手社員からすれば勝手が分からないものが多く、「もっと丁寧に教えてほしい」「マニュアルがほしい」といった要望が多かったですね。

― その後、どのような対策を講じたのですか。

森田:ベテラン社員に対して、若手社員とのコミュニケーションや指導の仕方を学んでもらえるような研修を拡充してみようということになりました。 しかし、社内にはそういったノウハウがありませんでしたし、客観的なアドバイスも頂戴したかったので、人材サービスを提供している複数の会社に相談してみることにしたのです。

すると、ほとんどの会社から「ベテラン社員を対象にした各種の研修を実施してはどうか」という提案が寄せられました。 その中でマイナビだけは「あらためて現状把握から始め、そこで明らかになった課題に対して優先順位をつけた上で、最適な研修を実施すべき」という提案をしてくれました。

同時に「一時的な研修だけですぐに成果を出すのは難しいので、あわせて人材を持続的に育成できる仕組みをつくってはどうか」という方向性も頂戴し、大いに共感しました。

― その仕組みの中核を担う人材・組織開発ツールとして、crextaを導入されたそうですね。

森田:crextaを活用すれば、人材を持続的に育成できる仕組みを構築することができそうだと思いましたし、eラーニング機能が付随しているのも魅力的でした。 事前課題としてeラーニングに取り組んでもらい、基本知識をインプットしたうえで研修に臨んでもらうといった使い方などができますからね。

そこで、crextaの導入・活用を社内では「組織活性化プログラム」と銘打って展開することとしたのです。

エンゲージメント診断の結果をもとに
年次別に最適な研修を実施

― 導入後はどのようにして人材育成の仕組みづくりを進めていったのでしょうか。

森田 :まずは当社社員のエンゲージメントの状態を知り、それが他社と比べてどの程度のレベルにあるのかを把握するために、エンゲージメント診断を実施しました。 エンゲージメントの状態は私の予想に比べて良好だったので、その点は自信につながりましたし、各部署の具体的な強み、弱みを把握できたおかげで、人事施策や研修内容をより具体的にイメージできるようになりました。

たとえば、マイナビが実施してくれたエンゲージメント診断の報告では、若手社員のエンゲージメントがやや低い傾向にあることを指摘してもらえました。 経験があり、自分で仕事を進められるベテラン社員はやりがいを持って業務に取り組んでいるのですが、若手社員はまだ仕事に慣れていません。 そのうえ、ベテラン社員からのコミュニケーションや指導が不足しており、なにをどうしていいか分からない状況にあることもあらためて浮き彫りになったわけです。

― 研修はどのように実施していったのですか。

因 則子さん(以下、因):マイナビと議論し、まずは指導する側である管理職への研修が先決ということになり、ベテラン社員を対象にした集合研修を実施しました。

エンゲージメント診断の結果によると、当社のベテラン社員は役職者であってもプレイヤーとしての意識が強い傾向にあったので、「若い世代を育てることの重要性」をテーマに設定しました。 その中で、面談をどのように活用するかも内容に含めてもらいました。

― 若手社員の皆さんを対象にした研修も実施したのでしょうか。

:2023年1月に若手社員を対象として研修を実施しました。 ビジネスの基本に関する内容でしたが、単なる座学ではなく、グループディスカッションや映像コンテンツを盛り込んだものにしたので、かなり関心を持ってもらえたと思います。 これを機に上司への〝ホウレンソウ〟をベースとしたコミュニケーションの重要性などを実感してくれたと感じています。

― 研修内容はマイナビとの連携のもとで策定していったのですか。

森田:対象者の選定やテーマなど、事前に何度も打ち合わせを重ねた上で進めていきました。研修後のフォローや総括などもおこなってくれるので、非常に頼もしいですね。

これまではベテラン社員と若手社員を対象にした研修のみ実施したので、今後はその中間に位置する年次のフォローアップも視野に入れることで、全社的なレベルアップを図りたいと思います。

crextaの機能を活かし
研修や面談をより充実したものに

― 2022年から面談の活用にも力を入れているそうですね。

森田:上司と部下の間での面談の質を高め、その回数を増やすことにしました。 現状のジェネレーションギャップを埋め、双方のコミュニケーションをより円滑にするためには、良質な面談をできるだけ頻繁に実施する必要があると考えたのです。

もともと上司・部下の面談は半年に1回のペースで実施していたのですが、今は半年に複数回実施しています。 理想をいえば月に1回のペースで実施したいのですが、まずは現実的なラインから取り組み始めているところです。

また、直属の上司には言えない思いなどを汲み取るため、2022年度も私が全社員と面談することとしました。 2021年度の面談の際はその記録を詳細に残せなかったのですが、今回はcrextaのデータベース機能を活用して面談内容を記録することにしました。

過去の記録を見ることで、社員一人ひとりの働きぶりやモチベーションの変化をたどることができますし、各部長も適時に閲覧できるので、その後の部長による面談にも活用できます。 このような取り組みは今後の人材育成に向けて大きなステップになると感じています。

― 面談にあたっては、crextaのパーソナリティ診断機能も活用されたそうですね。

森田:マイナビのフォローのもと、管理職研修の後でパーソナリティ診断を実施しました。 実施した結果の社員へのフィードバックの方法に悩みましたが、マイナビから「面談時のコミュニケーションのきっかけにすることができる」というアイデアをいただいたので、面談時に活用しています。

たとえば、診断結果をもとに「自分の結果をどう思いますか」「合っていると思いますか」といった切り口で話を振ることができますし、面談者自身の診断結果を見せることで相互理解も進みます。また、そこから仕事以外の話題を引き出したりすることもできます。 ジェネレーションギャップがある場合の面談はもちろん、そうでない場合についてもこの診断結果は非常に有用だと考えています。

― 今後の展望についてお聞かせください。

森田:2022年のcrextaの導入から約1年が経過して、先ほどお話をした通り活用も進めていますが、自分自身としてはその効果を十二分に活用できていないと感じているので、引き続きマイナビのサポートに期待しながら、自分たちでできることに積極的に取り組んでいきたいと考えています。

たとえば、今後は年次・階層別により的確で効率的な学びの機会を提供したいと考えています。 その点では分析なども通じて「この年次・階層の人材にはこのコンテンツの履修を勧める」など、crextaのeラーニング機能を始めとした各機能の利用方法をある程度、標準化していくのが効果的かもしれません。

もちろん、リアルな研修についてもマイナビからのアドバイスのもと、より充実したものにしていきたいですね。

:eラーニング機能を使えばオリジナルコンテンツを作成することもできるので、crexta導入後、新入社員研修における各部業務説明の様子を録画して取り込み、その後に入社した出向者への研修に活用しました。 技術継承という点でも可能性を感じています。

また、データベースの利活用も進めていきたいと思っています。 現在は面談記録とeラーニングの履修履歴にとどまっているため、記入を推進して社内のシステムとどのように連携させていくかを考えていきたいですね。 それによって当社ならではの人材育成の仕組みを進化させていきたいと思います。

― ありがとうございました。

プロフィール

森田 利充さん
取締役総務部長
東海旅客鉄道株式会社(JR東海)の財務部などを経て、2016年に子会社のJR東海財務マネジメント設立後、同社取締役総務部長などを務めた後、2021年6月より現職。 現在は名古屋ステーション開発株式会社の取締役として管理部門の統括を担っている。
因 則子さん
総務部 総務課係長
東海旅客鉄道株式会社(JR東海)で関連事業や総務・人事業務に従事。 2020年7月に名古屋ステーション開発株式会社に着任、2021年1月より現職。